なってしまいました。
京都のある寺に毎日来ては、しくしく泣くお婆さん
がいました。ある時、そのお婆さんに何故そんなに
悲しいのか?と尋ねてみました。すると、そのお婆
さんは『私には息子が二人います。長男は傘貼りの
職人で、次男は足袋をつくる職人なんだよ。雨が降
ると足袋が売れず次男が可哀相で泣いていた。晴れ
たら傘が売れずに長男が可哀相でまた泣いてしまう
のだよ。』と打ち明けてくれました。
ああ、そうなんだ。と、同情はしたのだけれども、
その人はお婆さんにこう話ました。
『お婆さん、それは反対だよ!雨が降れば、長男の
傘が売れてうれしいじゃないか、晴れたら次男の足
袋が売れてまたうれしいじゃないか。そうだろう。
』とその人はお婆さんに言いました。
それから数日してまた、お婆さんに会いに行くと、
いつものお寺で今度は《にこにこ》してる姿を見て
安心しましたとさ。
と、いう単純なお話ですが、物は考えようで良くも
悪くも取れますよ、と言う昔話でした。
これは、中西先生の講義の中に出て来るちょっとし
た話です。おもしろいでしょ。
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